waxの日記

日常のひとコマ。見たこと、感じたこと、思ったこと…

水道橋と神田川

空が青く透き通っているとき。空気もしっとりと澄んでいるようで、
見るモノ全てが鮮明になり、爽快で、とても幸せな気分だ。


水道橋交差点の周りには、東京ドーム、後楽園遊園地の他、学校施設が多く、
ファミリー、ビジネスマン、学生といろんな人達が行き来する。


交差点横には神田川が流れ、ツタが岸壁を緑で覆っている。


河岸に立つモニュメントや木々とも調和して、1枚の絵に収まりそうな光景だ。
実際、水道橋の上でスケッチをしている人達を目にすることもあって、
皆同じように魅力を共有しているんだなと思うと少し嬉しかったりもする。

涼しい秋風が肌を撫でるように通り過ぎるとき、
緑がゆっくりと波打って揺れる様は、とても綺麗で、静かな気持ちになれる。


水道橋を渡った直ぐ先にある「らんぷ亭」で牛丼を食べる時は、
決まって神田川が眺められる窓際のカウンター席に座る。

水の流れというのは不思議と気持ちを穏やかにして、心地よい気分にしてくれる。
350円の簡素な牛丼も、心地よい空間で食すれば、格別の味となる。


最初にここに座り、川を眺めた時、岸壁に大きく空いた神田川分水路の開口部に目が惹かれた。
垂れ下がるツタの隙間から差し込む光が、入り口付近を照らし、川の水が、その奥へと静かに流れ込んでいる。
洞窟の前に立つ気持ち、というのか、ちょっぴりミステリアスでワクワクする。


"暗いトンネル"というと、昔見た映画「マルコヴィッチの穴」を思い出した。
人は元来、未知なる世界に心惹かれ、その入り口となる「穴」に、不安を覚えつつも、
入らずにはいられない衝動を覚える。そんなモノなのかもしれない。
マルコヴィッチの穴 DTSコレクターズエディション [DVD]


「地下鉄(メトロ)に乗って」という邦画が公開されているが、
"地下鉄"という空間も"穴"的なミステリアスさがあって僕は好きだ。
この映画の場合、地下鉄から出てみたら、"是までと異なる世界"が待っていた。
というタイムスリップストーリー。今ちょっと気になる映画だ。


1984年公開のカルトムービー「サブウェイ」も地下鉄系映画としては素敵な映画だった。
サブウェイ [DVD]
監督は後に名が知れるリュック・ベッソン。蛍光灯の青みがかった光源で描く映像は、地下鉄独特の世界観を良く表現していて印象に残っている。キャストも意外と大物揃い。


牛丼を食べ、物思いにふけりながら何気なく川を眺めていたら
川の上をゆっくりと流れてくる小さな物体が見えた。

最初は枝か何かかと思ったのだけど、よく見ると川の流れに逆らって、わずかながら上流へと進んでいる。
水面の上にちょこんと小さなものが飛び出していて、水面下ではなにやら足をバタつかせて泳いでいるようにも見えた。
だんだんとこちらに近づいてきて、姿が見えてくる。
カエル?かとも思ったが、どうやら体長30cm程のが、顔を水面に出しながら、
えっちらほっちら泳いでいるのだった。なんだか愛らしい。
あまりに一生懸命泳いでいるので、最初は溺れているのかと思ったけど…。

この亀さんに気づいた人は何人いただろう。
川を右へ左へ行ったり来たりしつつ、やがて姿が見えなくなったが、
僕はずっとこの亀さんが気になってしまい、姿を目で追いながら牛丼を食べていた。


水道橋は、そんなささやかな出会いもある心地よいスペース。
今度は是非神田川沿いを、ゆっくりと散策などしてみたいなと思う。