waxの日記

日常のひとコマ。見たこと、感じたこと、思ったこと…

日本沈没

日本沈没 スタンダード・エディション [DVD]
友人と映画「日本沈没」を観に行った。
待ちに待った公開だった。
子供の頃オリジナルの日本沈没をTVで観た記憶がある。
詳しいストーリーはすっかり忘れたが、日本が沈没するというシチュエーションは、子供ながらに衝撃を受けた。
「どんな時も最悪な状況を想定しておかなければならない」と、いつも考えてしまう自分は、
きっとこの物語がトラウマになっているのかもしれない。


監督の樋口真嗣氏は、「ローレライ」という潜水艦モノの特撮映画も撮っている。
ローレライ [DVD]
こちらも面白そうなあらすじ、鳴り物入りの特撮シーンということで期待して観たのだが、正直わかりやすい特撮と現実離れしたストーリー展開に、少々期待外れの映画であった。


さて、今回の日本沈没はどうだろうと思いつつ、TOHOシネマズ 六本木ヒルズで観ることにした。こちらの映画館はインターネットからチケット購入や、ある程度の座席指定が出来て大変便利だ。施設の質も良いので、今回のような大スペクタクル映画を観るにはちょうど良い。今回運良く中央付近の席を取得することができた。

さて観た感想だが、期待通りの素晴らしい映画だった。
少なくとも僕がこれまで観た邦画の中でも傑作に入る類だと思った。まず特撮は良く出来ていて、地震、噴火、津波、人や車や町全体が巻き込まれる壮絶なシーンは、かなり見応えがあってリアルだった。日本もここまで技術が向上したんだなと関心させられた。
そして実際にも起きそうなリアルなストーリー展開や、登場人物達の心の動きなども無理が無く、良くできていた。(もちろん細かく観ていくとつっこみどころは多々あって、それはそれで楽しかったが…)
阪神淡路大震災を経て(最近は首都直下型地震なども話される状況下で)公開されたことも、より現実味が増して、感情移入しやすかったと思う。

ちなみにこの映画は、何気なく出てくる登場人物に、結構な大物や関係者が出演していたりするなど、遊び心も満載。チェックしながら観ているとより楽しめそう。例えば写真で出てくる丹波哲郎は、昔の日本沈没の映画で総理大臣役をしていた…とか。
また海底下7000mまで掘削可能な、地球深部探査船「ちきゅう」は、今回初めて知ったが、ちゃんと実在する船ということで、ちょっと驚いた。


この映画を観て強く印象に残ったことがあった。
日本が沈没することがわかり、海外に日本人を脱出させる他道がなくなった時、アメリカや韓国、中国など海外の国々に、脱出する日本人を受け入れてもらえるように交渉していくわけだが、当然大量の日本人が流入してくるという前代未聞の事態に、受け入れ側の政府や国民レベルで抵抗がおきたり、いろいろな思惑も交差して、なかなか前に進めない事態に陥る。
確かに当然のことだろうけど、日本人として感情移入しながら観ている自分としては、命がかかっているんだ!ともかくそちらの地に移動させてくれ!と思わずにはいられなかった。
でも結局、国の付き合いも、人の付き合いも、いざというとき大切なのは、日頃からの信頼関係をいかに築いていたか。によるのだなと思った。
こんな事態になって始めて気づくのでは遅く、なりふり構わず相手にしがみつく行為は、確かに身勝手なことなのかもしれない。(もちろん人道的に考えれば、どんな理由があるにせよ、それを超越した良心的な行為を期待せずにはいられないが…)
昨今の中国や韓国との外交問題も然り、国内でも人間関係が希薄になっていると言われる昨今。もっと積極的に関わりあって、日頃から理解し、助け合うようにしないといけないなと、自戒の意味も含め、つくづく思う。そして是非、日本の政府官僚の皆様や、多くの人々にもこの映画を観て頂きたいなと思う。
それと海外の方にも見てもらって異なった視点から感想を聞いてみたい。もっとも島国の日本と違い、そもそも沈没するという恐怖のシチュエーションが実感しずらいかもしれないけど。

原作の話はどうなっているのか興味があるが上下2巻の小説を読むのはちょっとキツイかな。いずれにせよ壮大な舞台を用いて、大切なテーマを訴えかけている素晴らしい内容で、小松左京先生の先見性と偉大さを感じずにはいられなかった。

日本以外全部沈没 [DVD]
聞いた話では、パロディーで「日本以外全部沈没(著:筒井康隆」という小説や(映画にもなるらしいが)
果ては「四国以外日本沈没」なんて漫画もあるらしい。ホントかは定かでないが…
四国に全国の人々が逃げてくる話…?それはそれで面白そうで、是非読んでみたい気がする。